なぜ今、1999年の“予言漫画”が話題に？

1999年に出版された漫画『私が見た未来』。一見、20世紀末のスピリチュアルブームの産物かと思いきや、2020年代に入ってこの作品が再び脚光を浴びています。

きっかけは、表紙に記された「大災害は2011年3月」という文字。そう、東日本大震災が実際に起きた年月と一致したのです。

この“的中”に世間が騒然としたのが2020年ごろ。ネットでは「本物の予言者？」「なぜ引退してしまったのか」などの声が飛び交い、中古市場ではこの漫画が10万円超えで取引されるほどプレミアがつきました。

著者のたつき諒さんは、作品の過熱ぶりや誤解を受けた情報拡散を受けて2021年に『完全版 私が見た未来』を出版。本人の口から詳しい背景や思いが語られ、多くの読者が“未来”に関心を抱くこととなります。

その“完全版”に記されていた新たな予言──それが、「2025年7月に大津波が来る」という内容だったのです。

具体的な日付まで──“2025年7月5日”という表記

2021年7月に見たというその夢には、「東日本大震災の3倍規模の津波が太平洋沿岸を襲う」とまで描写されており、イラストや地図つきでの説明まで加えられていました。

さらに驚きなのは、その夢を見た日と同じ“7月5日”が危機の日になるのでは、という記述。これがSNSで拡散されたことで、「2025年7月5日に日本を襲う大津波」という情報が“予言”として独り歩きし始めたのです。

もちろん、これは科学的な根拠があるわけではありません。気象庁は明確に「デマと考えられる」と否定しています。

それでも、国内外で不安は拡がっており、インバウンド観光や航空会社の運航計画にも影響を与える事態へと発展しています。

経済・観光・副業にも影響？“予言”が現実社会に波及

夢や予言というとオカルトの話のように聞こえますが、実は現実に起きている経済的インパクトも無視できません。

2025年7月を目前に控えた今、「この時期の日本旅行は避けたい」と感じた外国人観光客が増えているのです。

実際に、香港のLCC「グレーターベイ航空」は仙台・徳島行きの直行便を減便。香港航空も「旅行需要減少」を理由に7月から10月末までの運休を発表しました。

さらに、北海道などの主要観光地でも外国人キャンセルが相次いでいるという声もあります。

これは観光業界にとっては大きな痛手。インバウンド需要の回復を期待していた日本経済にとって、このような情報による“風評リスク”は計り知れません。

副業・フリーランスへの影響も考慮すべき

観光関連の副業や地域ビジネスをしている方々にとっても、これは他人事ではありません。

たとえば、民泊運営や観光ガイド、ローカル物販などの副業に従事している人たちにとって、インバウンドの動向は死活問題です。

予約のキャンセル、アクセス数の減少、売上の低下──どれも現実的な問題として起こり得ます。

また、「2025年7月の大津波」のような日付が明示された情報は、意識の上で「そこまでは大きな投資を控えよう」と考える心理的抑制にもつながります。

結果として、地域経済や副業への挑戦機会を“自粛”する動きが出てしまうのです。

これは明らかに、情報との向き合い方を間違えることで、本来得られたはずの経済的成果まで損なうリスクをはらんでいます。

“予言”よりも“備え”が現実を変える鍵

たつき諒氏自身も、インタビューなどで「この夢を信じろというのではない。備えることが大事」と語っています。

また、完全版には以下のような文章が添えられています。

「もし災害が起きても、事前に準備をしていたことで命が助かる人は確実に増えます。そして、復興のスピードや希望ある未来も見えてきます」

つまり、未来は確定されたものではなく、準備と行動によって変えられるというメッセージが込められているのです。

副業を始めようとしている人、地域でビジネスを展開している人、家族のために備えたいと考える人──今できる備えや判断こそが、“予言に翻弄される生活”を抜け出すカギになるのではないでしょうか。

“予言”とどう向き合う？情報リテラシーが分岐点に

「2025年7月に大津波が来る」という話題がここまで広がった背景には、やはり“当たった”という過去の実績（2011年3月の大災害）があります。

とはいえ、未来予知は科学的に証明されていない分野。むしろ、こうした情報にどう向き合うかこそが、今後の生活や経済活動を左右する「分岐点」になります。

不安に煽られて行動を止めるのではなく、「じゃあ何ができるか？」と建設的に考えることで、不確実な未来に対する抵抗力も養えるはずです。

特に副業や個人ビジネスに挑戦している人にとって、「情報に振り回されず、行動を継続できるか」は成功の明暗を分ける大事なポイント。

正しく疑う姿勢と、備える柔軟さ。この両方が求められているのではないでしょうか。

“防災×副業”という新しい視点

これまで“防災”は行政や家族単位で考えるもの、というイメージがありました。でも今、副業や個人事業に関わる人にとっても、災害は収入や生活を脅かす現実的リスクになっています。

たとえば、物流が止まるだけで物販系の副業は打撃を受けますし、通信障害があればライターやデザイナーの納期にも影響が出る。こうした視点から「防災と副業」を同時に考えることが、今後ますます重要になってきます。

以下は“副業×防災”の視点で、今からできる備えの一例です。

• クラウドに業務データをバックアップしておく
• 避難時にも使えるよう、モバイルバッテリーを常備
• 副業収入が止まったときの“代替キャッシュフロー”を考えておく
• インボイスや請求書テンプレはローカルでも保存

これらは単なる「防災準備」ではなく、生活や収入を守るライフハックでもあります。

情報に呑まれず、“生き抜く準備”を

予言の信憑性がどうであれ、大切なのは「もし起きたときに自分はどう動けるか？」をシミュレーションしておくこと。

たつき諒氏も作品のなかで、「準備していたことで命が救われた未来」を描いています。

また、災害のあとに訪れる未来について、「人々が協力し、活き活きと暮らす明るい未来を見た」とも記しています。

それは、どんな困難にも立ち向かえる人間の力、そして希望を信じる姿勢があればこそ見える光景なのでしょう。

“予知夢”ではなく、“予防策”に目を向ける

「大津波の夢」が注目されるのは、それが具体的な“日付”と“規模”を持っているからです。でも、地震も津波も、いつどこで起きるかを完全に予測することはできません。

だからこそ、備えることが最大の武器になる。

そしてそれは、何も“防災グッズ”だけではありません。情報を取捨選択する力、冷静に判断する知性、他者と協力する姿勢も立派な防災です。

特に今、副業や在宅ワークで個人単位の働き方が増えているからこそ、「孤立しない準備」や「複数の収益源を持つ意識」は、不測の事態に対する保険にもなります。

未来は変えられる。その鍵を握るのは“行動”

予言に右往左往するのではなく、それを“備えるきっかけ”にできれば、この情報も決して無駄ではありません。

災害が本当に来るかどうかではなく、「どんな未来をつくっていくか」を今の自分が考えるチャンスとして捉えてみてください。

たつき諒氏の予言が当たるかどうか。それは誰にもわかりません。

でも、「自分の人生を守る準備」を今から始めることが、未来を変えるもっとも確実な方法であることは、間違いありません。