副業と補助金制度、なぜ今注目されているのか

副業時代の到来と「初期投資リスク」

コロナ禍以降、「1つの会社に頼るのは危ない」という考え方が急速に広まり、副業を始める人が爆発的に増えました。

とはいえ、副業といっても準備や設備にある程度のお金が必要なことが多く、「やってみたいけど資金が足りない」「失敗したときが怖い」と感じて二の足を踏む人も少なくありません。

そこで注目されているのが、国や自治体が用意している「補助金」や「助成金」。実はこれらの制度、副業にも使えるものがたくさんあるんです。

「補助金＝起業家だけ」はもう古い

「補助金って法人向けでしょ？」と思う方も多いですが、今は副業や個人事業主レベルでも使える制度が増えています。

たとえば「小規模事業者持続化補助金」や「創業支援補助金」「地方創生推進補助金」など、自治体が後押ししてくれる制度が目白押し。条件を満たせば、副業として開業したばかりの人でも受給のチャンスがあるのです。

2025年現在、副業向け補助金のトレンドとは？

2025年のトレンドとして特に注目したいのは、以下の3つの流れです。

• 地方自治体による「副業人材」支援強化
• DX（デジタル化）・AI活用事業への優遇措置
• 女性や若年層の創業支援に特化した制度

これらは副業を始めようとしている人にとって、かなり「追い風」となります。自分がどのタイプに当てはまるのかを確認するだけで、受給できる可能性が大きく変わるのです。

副業に使える主な補助金制度とは？

① 小規模事業者持続化補助金（商工会議所・商工会）

これは全国の商工会議所が実施している代表的な制度で、ホームページ作成費やチラシ制作費、集客ツールへの投資など、販路開拓に使える費用の一部を補助してくれます。

副業として個人事業主登録したばかりの人でも申請可能で、補助率は最大で2/3、補助上限は通常枠で50万円（特例で最大200万円まで）とかなり現実的。

申請時には「事業計画書」が必要ですが、全国の商工会議所で相談に乗ってくれるため、初心者でもトライしやすい制度です。

② 創業支援型補助金（経済産業省・自治体）

創業予定者や創業後間もない方を対象とした補助金。たとえば東京都の「創業助成事業」では、従業員を雇う必要もなく、フリーランス・一人起業でも申請できる内容になっています。

補助金額の相場は100万〜200万円規模。対象になる経費は広く、業務用のパソコン購入や広告費、資格取得費用なども含まれることがあります。

③ 地域創生・副業促進のための地方独自制度

自治体ごとに、地域の課題を解決する人材（地域おこし協力隊など）に対して支援を行う制度もあります。地方移住×副業という切り口で、住居支援＋副業補助金のようなパッケージ支援が受けられる例も。

たとえば北海道・長野・鳥取などの一部地域では、「副業支援モデル事業」として、月5万円〜10万円の活動支援金＋交通費や設備費を支給してくれるケースもあります。

④ IT導入・スキル取得支援に特化した制度

AIやデジタルツールを使った事業に対する補助も増加中です。たとえば「IT導入補助金」は、業務効率化ツールやWeb制作、クラウドサービス導入に使える補助金で、副業の効率化や自動化にも活用できます。

また、AIを使ったライティングや動画編集など、新しいスキル習得に対して一部費用補助を出す自治体も出てきています。

補助金申請の流れと注意点を徹底解説

実際の申請フローを知っておこう

補助金を活用するには、ただ「使いたい」と言うだけでは不十分です。申請にはいくつかのステップが必要で、以下のような流れになります。

• ① 自分に合った補助金制度を調べる
• ② 募集要項を熟読し、対象経費や期間、条件を確認
• ③ 必要書類の準備（事業計画書・見積書・経費明細など）
• ④ 申請窓口（商工会・自治体・経産省など）に提出
• ⑤ 審査結果を待つ（1ヶ月～数ヶ月）
• ⑥ 採択後、事業を実施し、実績報告と精算処理

ポイントは、「申請してから使う」のではなく、「使ってから補助される」ことが多い点。つまり一時的にでも自己資金を用意する必要があることを覚えておきましょう。

申請書類で大切な3つのコツ

多くの副業初心者が悩むのが「書類作成」です。実は、以下の3つのポイントを押さえることで、審査通過率がグッと上がります。

• ① 目的の明確化：なぜこの事業をするのか、その社会的意義や課題解決を言語化。
• ② 数字の裏付け：市場調査や収支予測に、根拠となるデータや資料を添付。
• ③ ストーリー性：「熱意×戦略性×実現可能性」が伝わる構成に。

補助金の審査担当者は「無数の申請」を見てきています。テンプレ通りではなく、あなたの“人となり”や“動機”が伝わる書き方が肝です。

副業×補助金で成功したリアル事例

事例①：「ライター副業×小規模事業者持続化補助金」

30代会社員のAさんは、平日は本業、夜と週末にWebライターとして活動していました。副業収入が月5万円を超えたタイミングで「事業者」として開業届を提出。

その後、「集客に強いポートフォリオサイトを作りたい」と思い、商工会議所のサポートを受けて「小規模事業者持続化補助金」に申請。約40万円分のホームページ制作費のうち、30万円が補助されました。

その結果、仕事の受注率は倍増。たった1つのサイト投資で、収入が月10万円を安定して超えるようになったそうです。

事例②：「農産物のネット販売×創業支援補助金」

地方移住をきっかけに家庭菜園を始めた50代の主婦Bさん。余った作物をオンライン販売し始めたところ、思った以上に反響が。

そこで「ちゃんとした通販サイトを作って販売を本格化させたい」と考え、創業支援補助金に申請。見積書や配送経費、梱包資材まで丁寧に準備し、無事採択。

助成金で初期費用の8割をカバーできたため、自己負担は最小限で済みました。現在は地元の食材をセットにした「おまかせ便」が人気商品になり、月収は3万円→15万円に。

事例③：「AI副業×IT導入補助金」

副業として「生成AIを使ったレポート作成代行」を始めた20代のCさん。クラウドソーシングで好評だったものの、業務管理や見積書発行が煩雑に感じていたそうです。

IT導入補助金を活用して業務管理クラウドを導入し、作業効率が向上。実績報告や請求書も自動化され、空いた時間でクライアント数を2倍に。

1日1件しか受けられなかった案件が、ツール導入後は1日3件こなせるようになり、売上も大幅アップ。

注意すべき落とし穴と事前準備リスト

補助金の「落とし穴」あるある

魅力的に見える補助金制度にも、いくつかの「落とし穴」があります。よくあるミスを知っておくだけでも、成功率は格段に上がります。

• ・募集期間を過ぎていた（予算に達し早期終了のケースも）
• ・領収書・経費証明が揃わなかった
• ・自己資金が想定より多く必要だった
• ・税務申告との整合性に注意が必要だった

特に、補助金と「確定申告・帳簿」の連携は見落としがち。副業の確定申告と整合を取らないと、補助金の返還を求められるケースもあるので要注意です。

申請前に整えておきたい準備リスト

副業で補助金申請を検討している方は、以下の準備を早めに始めましょう。

• □ 開業届（副業でも提出可能／税務署）
• □ 収支の試算表（簡易でもOK）
• □ 見積書・参考価格の資料
• □ 自己資金の目安額
• □ 自治体または商工会との相談予定日
• □ クラウド会計ツールなど帳簿準備

ここまで準備できていれば、たとえ今すぐ応募できなくても「次回募集」で即行動に移すことができます。

まとめ：補助金は副業スタートの“後押し”になる

副業を始めるうえで一番のハードルは「資金」と「自信」。その両方を補助金は後押ししてくれます。

2025年以降も、「個人で稼ぐ力」を持つ人を後押しする国や自治体の流れは続くでしょう。つまり、今こそチャンス。制度を使いこなせば、ゼロからの副業が「持続的な収入源」に育っていく可能性も高まります。

副業を単なる“お小遣い稼ぎ”に終わらせず、“小さなビジネス”に育てていく。その最初の一歩として、補助金制度の活用を検討してみてください。

困ったときは地域の商工会や自治体窓口に相談を。思っている以上に「親切に教えてくれる」ので、まずは一歩踏み出すことから始めてみましょう。