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日経平均3万7498円に、続落止まらず投資家に動揺

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この記事の要約

2025年5月17日、日経平均株価は4営業日連続で下落し、前日比132円安の3万7498円で取引を終えました。米国の金利上昇や中国経済の減速懸念、そして円安進行など複数の外的要因が複合的に影響し、投資家心理を冷やす結果に。この記事では、4日連続の下落となった背景や、今後の相場見通しについて、データと市場の声を交えながら詳しく解説します。

連続下落が投資家心理に与える影響

「また下げたか」――証券会社のフロアや個人投資家の間で、そんなため息が漏れた2025年5月17日。日経平均株価はこの日も続落し、終値は前日比132円安の3万7498円。4営業日連続の下落となり、わずか1週間前に3万9000円台を回復していた勢いは影を潜めつつあります。

株価の下落は一時的な調整局面として捉えられる場合もありますが、複数日にわたる連続下落は、投資家心理にネガティブな影響を与える要因となります。加えて、世界経済の不安要素が複雑に絡み合う中での連続安は、国内外の機関投資家によるリスクオフの動きにもつながっており、マーケット全体に警戒ムードが広がりつつあります。

3万7498円、心理的節目を割った背景

主な下落要因は「米長期金利の上昇」

今回の下落の主因として、まず挙げられるのが米国の長期金利の上昇です。米10年債利回りが一時4.6%台に達したことで、リスク資産への回避姿勢が強まり、特にテクノロジー銘柄を中心に日本市場でも売りが優勢となりました。

米国のインフレ指標が依然として高止まりしていることを受けて、利下げ観測が後退した結果、金利の上昇とドル高が進行。日本市場ではその影響を受け、半導体・精密機器・電機など外需関連株に売りが集中しています。

円安加速も、投資家心理を揺らす

加えて、為替相場における円安の加速も見逃せない要素です。1ドル=157円台をつけたことで、輸入コストの上昇や家計への影響が意識されるようになり、内需関連株の一部にも売りが波及しています。

これにより、マーケットは「円安=株高」という従来の構図からやや乖離した動きとなりつつあり、為替と株価の相関が崩れかけている状況とも言えます。

個人投資家も警戒、売買代金は低調

証券取引所によると、この日の東証プライム市場の売買代金は概ね3兆円前後とやや低調。これは個人投資家を中心に「積極的な買い手」が見送られていることを意味しており、「様子見ムード」が強まっている証拠でもあります。

さらに、日経平均先物にも売りが入り、押し目買いが入りづらい環境が続いています。

なぜ今、株価が下がるのか

① 米国経済と金融政策の影響

日経平均の下落は、単なる国内要因だけでは語れません。特に影響が大きいのが、米国の金融政策の動向です。最近発表された米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことで、「米FRB(連邦準備制度理事会)は年内に利下げを実施しないのでは」という観測が強まり、投資家のリスク選好姿勢が一気に後退しました。

これにより米国株が軟調に推移し、その余波が日経平均にも波及。ナスダック市場が下げた翌日は、必ずといっていいほど日本市場も連動安となる「米国依存型構造」が改めて露呈しています。

② 中国経済の減速懸念と地政学リスク

加えて、アジア全体の投資センチメントに影響を与えているのが、中国経済の不透明感です。若年層の高失業率、不動産市場の冷え込み、政府による財政出動の遅れなど、ネガティブ要素が複数並立しており、「中国関連需要」に依存する日本企業への先行き懸念が広がっています。

また、台湾有事への警戒や、中東情勢の緊張も加わり、世界的な地政学リスクの高まりが、株式市場全体のボラティリティを押し上げている状況です。

過去の連続下落局面との違い

① 2022年秋の“米金利高ショック”と似て非なる局面

2022年秋にも、米金利上昇とドル高により日経平均が連続して下落する場面がありましたが、当時はまだ「インフレとの闘い」が金融市場の中心テーマでした。

一方で2025年の現在、物価上昇がやや落ち着きを見せる中での下落であるため、市場参加者の“テーマ喪失感”も加わり、「どの材料を信じて売買すればよいか分からない」という迷いが出ているのが特徴的です。

② 2020年コロナショックとの違い:急落ではなく“じわじわ型”

コロナ禍初期のような急落型とは異なり、今回の下落は“じわじわ型”。急激な暴落ではなく、3〜4営業日にわたってジリジリと値を下げていく構図が続いています。

このような局面では、投資家の「気づかぬうちのストレス」が蓄積しやすく、ある閾値を超えると突然のパニック売りに発展することもあるため、注意が必要です。

いま求められるのは“構造を読む力”

私は社会政策アナリストとして、株価の上下動だけでなく、その背後にある「社会的構造」や「マクロ政策の流れ」に注目しています。今回の続落は、単なる売り圧力や利益確定とは異なる“構造的な投資不安”を示していると見ています。

米国の金融政策、円安進行、中国経済の不透明感、そして国内の消費回復の鈍さ。これらが絡み合う中、今の相場は「どこを見ても安心材料がない」状態です。

とはいえ、これは決して“終わりの兆し”ではありません。むしろ今は、「どの情報が信頼に足るか」「どの時間軸で見るか」という“視座の柔軟性”が問われている局面だと考えます。

あなたは今の株価の動きを、どのように受け止めますか? 短期的な数字の波に流されず、構造的な視点でマーケットを見ることが、これからますます重要になるでしょう。

日経平均の続落に関する素朴な疑問に答えます

Q1:4日続落って、どれくらい珍しいの?

日経平均が連続して下落すること自体は珍しくありません。ただし“4日連続”ともなると、投資家心理に「下げトレンド入りか?」という警戒感が生まれやすくなり、売りが売りを呼ぶ連鎖につながるケースもあります。節目を割った場合には、さらなる調整局面が起こる可能性も否定できません。

Q2:今、株を買うのは危険?チャンス?

一概には言えません。短期的には値動きが激しく、含み損を抱えるリスクもありますが、「中長期投資」を前提にすれば、割安感のある優良銘柄が増える可能性も。企業業績や配当、為替の見通しなどを総合的に判断することが重要です。

Q3:政府や日銀は何か対応しないの?

今のところ政府から直接的な市場介入はありませんが、日銀のETF買いなどが水面下で検討される可能性はあります。ただし、円安や海外要因に起因する下落であるため、国内政策の効果は限定的との見方もあります。

市場は日々動き続けています。 “今この瞬間の数字”に一喜一憂するよりも、 その背後にある構造と変化の兆しを捉えることで、次の一手が見えてくるはずです。

この記事を書いた人:
佐藤 大輔(社会政策アナリスト)
経済・政策・制度に関する分析を専門とするライター。金融市場の動向をマクロ・ミクロ両面から読み解く視点に定評あり。社会と経済の「つながり」を軸に、読者の理解を深める解説を心がけている。

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