仮想通貨市場、時価総額34兆円増加の背景とは

この記事の要約
2025年5月12日、仮想通貨市場が急騰し、たった1日で時価総額が約34兆円も増加する異例の展開となりました。ビットコインは節目の10万ドル台に到達し、イーサリアムを含む主要アルトコインも軒並み2ケタ上昇。背景には米国利下げ観測とアジア圏での機関投資家参入、イーサリアムのアップグレード完了など複合的な要因が存在します。本記事では急騰の理由、銘柄別の動向、今後の市場見通しについて詳しく解説します。
仮想通貨市場、わずか1日で34兆円増加──何が起きた?
2025年5月12日、世界の仮想通貨市場が大きく動きました。CoinMarketCapによると、24時間での時価総額増加は約2,400億ドル(約34兆円)。これは2021年の「イーロン・マスク砲」以来の規模です。
特に目立ったのが以下の3点。
- ● ビットコインが10万ドル台を突破(+15%)
- ● イーサリアムが過去24時間で+21%上昇
- ● ソラナ、アバランチなど第2層チェーンも軒並み+10%超
日本国内でもXで「ビットコイン」「仮想通貨」「イーサリアム」が同時にトレンド入りし、多くの個人投資家が反応しました。
ビットコイン10万ドル突破の背景
ビットコインの今回の急騰には、以下の複合的な要因が影響しています。
■ 1. 米FRBによる利下げ観測の強まり
4月の米CPI(消費者物価指数)が市場予想を下回り、インフレ減速の兆候が見えたことで、「6月にも利下げがあるのでは」という期待が一気に高まりました。
これにより、金利に敏感な「リスク資産」であるビットコインに資金が流入した格好です。
■ 2. 香港ETFの成功──アジア機関投資家の本格参入
5月初旬に上場した香港のビットコインETFが、初週から予想を大きく上回る資金流入を記録。中国本土からの“裏ルート資金”が流れているという分析もあります。
「アジア発の機関マネー」がビットコイン市場に本格参入してきたことで、価格を押し上げた要因の一つとなりました。
■ 3. 半減期を過ぎた“定番”の強気相場入り
2024年4月のビットコイン半減期から1年が経過し、「強気フェーズ」への移行が予測されていました。
2020〜21年のような過去のサイクルを知る投資家が先行してポジションを増やしていた可能性もあり、市場心理が一気に上向いたタイミングでした。
イーサリアム、ついに“EIP-7582”アップグレード完了
ビットコインと並び、イーサリアム(ETH)も急騰しています。最大の要因は、待望されていたネットワークアップグレード“EIP-7582”が無事完了したことです。
■ EIP-7582とは何か?
簡単に言えば、「ステーキング済みETHの出金高速化」「ガス代最適化」「L2連携強化」の3つを柱としたアップグレードです。
これにより
- ● ステーカーの流動性が向上 → 新規参入促進
- ● ガス代変動が緩和 → DeFi/NFT系プロジェクトが再活性化
- ● OptimismやArbitrumなどL2の価値も同時に上昇
投資家からは「これがイーサの新時代の幕開け」とする声もあり、24時間で21%という急騰に繋がりました。
アルトコイン市場の活性化──ソラナ、アバランチも2ケタ上昇
ビットコインとイーサリアムの急騰は、他の主要アルトコインにも“波及的な上昇”をもたらしました。
注目された銘柄は以下の通りです。
- ソラナ(SOL):+17% → DePIN(分散型物理インフラ)との連携が進み、取引量が増加。
- アバランチ(AVAX):+12% → ゲームFi・NFTマーケットプレイスの拡張が評価される。
- Chainlink(LINK):+9% → クロスチェーン通信プロトコルの導入が近いとの観測。
共通して言えるのは、「実需を意識したプロジェクト」が高く評価された点です。 単なる投機ではなく、ユースケースに基づいた上昇トレンドが強まっています。
NFT・DeFi市場も回復基調──“沈黙”からの再浮上
昨年まで停滞していたNFT・DeFi分野も、この相場上昇に乗じて回復の兆しを見せています。
■ NFT:PFPよりも“実用性NFT”が再評価
以前は“ドット絵の顔アイコン”が市場を席巻していましたが、2025年に入ってからは
- ● ゲーム内で利用できるNFTアイテム
- ● コンサートや限定イベント入場券としてのNFT
- ● DAOにおける投票権付きNFT
といった“ユーティリティ型NFT”の取引高が上昇中。
OpenSeaの週次データによると、5月第2週のETH建て取引高は前週比+38%という回復ぶりでした。
■ DeFi:利回り商品の見直し+“リアル連携”強化
CompoundやAaveといった大手レンディングプロトコルでは、ステーブルコイン利回りが年率5〜6%台に回復。
また、
- ● トークンを担保に不動産投資
- ● 実世界の資産(Real World Assets, RWA)と連携したレンディング
といった“RWA×DeFi”のプロジェクトが増えており、機関投資家の参入も視野に入る段階です。
日本国内の個人投資家はどう反応したか?
日本でも、SNS(特にX)や仮想通貨系YouTubeで、今回の急騰に対する熱量は非常に高いものがありました。
■ SNS上の主な声(抜粋)
「ビットコイン10万ドルで初利確!次はどこまで?」
「NISAで買ってたイーサが一晩で+20%、ほんと夢ある」
「乗り遅れたと思って買ったソラナ、もう+15%。怖いくらい」
また、国内取引所bitFlyerやコインチェックでは、24時間以内のアクセス数・口座ログイン数が過去半年で最多を記録したとの非公式情報もあります。
■ 注意喚起も多数
一方で、インフルエンサーやベテラントレーダーによる「利確のすすめ」や「FOMO(乗り遅れ恐怖)注意喚起」も多数見られました。
「バブルに乗るな、ルールに乗れ」 という金言が再び共有されていたのが印象的でした。
仮想通貨市場は“第2の黄金期”に入ったのか?
2025年5月12日の急騰は、「短期的なフラッシュアップ」なのか、それとも「本格的な強気相場の入り口」なのか──。
この問いに対し、アナリストの間でも意見は分かれています。
■ 強気派の見解
- ● 半減期後のサイクル上昇フェーズ入り(過去のパターンと一致)
- ● ETFやRWAなど“実需マネー”の本格参入
- ● アジア圏中心に機関投資家の関心が再燃
特に、JPモルガンのレポートでは「2025年末にはBTCが最大14万ドル、ETHは1万ドル台に達する可能性がある」とも指摘されています。
■ 警戒派の見解
- ● 過熱感あり。CPIとFOMCの発表次第では反落も
- ● 利上げ再開の可能性はゼロではない
- ● 米SECの規制リスクや中国側の法的締め付け
特にDeFiとNFT領域は、ボラティリティが高く、調整局面で資金が一気に逃げやすいという弱点もあります。
“今から乗る”は危険?初心者が取るべき3つの行動
「乗り遅れたかも」と感じた個人投資家にとって、今後どう動くかは大きな悩みどころです。
ここでは、初心者が焦らず市場に向き合うための3つの戦略を紹介します。
① 少額つみたてを基本とする(DCA戦略)
・一括投資ではなく、月1〜2回に分けて購入 ・たとえば毎月2万円をBTC/ETHに分けてつみたて ・相場の上下に動じず、平準化された取得価格を狙う
王道ですが、長期では最も堅実でリスクが抑えられる方法です。
② “自己管理型ウォレット”を用意する
最近のハッキング事件や取引所倒産リスクを踏まえ、
- ● MetaMask
- ● Ledger Nano(ハードウェア)
など、自分で資産を管理できる環境も少しずつ整えていくべきです。
③ トレンドを“追う”のではなく“理解する”
・SNSで話題の銘柄に飛びつかない ・仕組みやユースケースを理解した上で投資判断を下す ・最低限の英語リサーチ能力があると強い(White Paper読解など)
仮想通貨は「投資」でもあり「技術」でもあります。 “上がってるから買う”では、いつか高値掴みになります。
“仮想通貨=投機”の時代は終わった?
2021年〜2022年のバブル期は、ミームコインやゲーム系トークンが乱立し、 その多くが大きな暴落を経験しました。
しかし、2025年の今は:
- ● ETF・金融商品としての整備
- ● 実需ベースでの流通(RWA, Supply Chain, 法定通貨連携)
- ● 中央銀行によるCBDC(中央銀行デジタル通貨)との相互補完
など、「インフラとしての仮想通貨」が広まりつつある時期です。
もはや“賭け事”ではなく、“新しい経済の部品”として、どこまで本物の信頼を勝ち取れるかが問われています。
まとめ──市場の波に飲まれず、自分の“投資軸”を持つ
今回の34兆円増加は、確かに歴史的な1日でした。 しかし、それは「一時のボーナス」ではなく、未来の経済システムへの胎動ともいえる現象です。
仮想通貨投資で一番大切なのは
- ● 誰かの意見に踊らされず、自分のリスク許容度で動くこと
- ● 価格ではなく“価値”を見ること
- ● 「続けられる仕組み」を作ること
流行に乗るのではなく、“地に足をつけた資産形成”こそ、 2025年の仮想通貨市場と付き合っていく最善の道です。