「預金＝安全」はもう古い？

預金神話の崩壊と現実

かつては「お金は銀行に預けておけば安全」と教わったものです。実際、昭和の高度経済成長期には銀行の定期預金金利が年5％以上という時代もあり、銀行に預けることで資産が自然と増える環境が整っていました。

しかし、今やその神話は完全に崩壊しています。2025年現在、大手銀行の普通預金金利は年0.001%〜0.02%前後。つまり、100万円を1年間預けても利息は10〜200円程度しかつきません。これではもはや「貯金＝資産形成」とは言い難い状況です。

それに追い打ちをかけるように、日本でもじわじわと物価が上がり続けています。特に食品やエネルギー、保険料など生活に直結する価格の上昇が目立ち、インフレ率に対して預金金利がまったく追いついていないのです。

インフレで預金は“減っていく”

「インフレ＝悪いもの」というイメージを持つ人は多いですが、正確には「物の価値が上がる＝お金の価値が下がる」という意味です。たとえば、去年まで1,000円で買えたものが、今年は1,200円になっていたとしましょう。

この場合、預金を100万円持っていたとしても、実質的に買えるモノの量が減っているということになります。つまり、数字上の預金額は変わらなくても、「実質的な価値」が減っていくのです。

これがインフレによる「預金の目減り」。何もしないで銀行に置いておくだけで、資産が溶けていく──それが、今の時代のリアルなのです。

貯金を守るための行動①「インフレに強い資産を持つ」

なぜ「現金」だけでは守れないのか？

インフレが続くと、現金はその価値を失っていきます。一方で、インフレと相性の良い資産を持っている人は、資産を減らすどころか増やすことも可能です。

たとえば、「株式」や「不動産」、「インフレ連動型債券」などはインフレに強いとされており、資産を目減りから守るのに有効です。もちろん、これらにはリスクもありますが、“銀行預金一択”という姿勢こそが最大のリスクとも言えます。

少額から始められるインフレ対策

いきなり株式投資はハードルが高い……という方におすすめなのが、「つみたてNISA」や「iDeCo（個人型確定拠出年金）」などの制度を活用した長期投資です。

これらは少額から分散投資が可能で、税制優遇も受けられるため、初心者にこそ適した資産形成法といえます。月1,000円〜5,000円といった少額でも、10年・20年と積み立てることで大きな差が生まれます。

要するに、「守る＝動かさない」ではなく、「守る＝目減りしない場所に避難させる」という発想が必要なのです。

貯金を守るための行動②「収入源を分散させる」

副業こそ“自分を守る資産”になる

貯金を守るというと、どうしても「お金の使い方」や「投資」ばかりに目がいきがちです。しかし、もうひとつ大切なのが、収入源を分散させて“貯金を減らさない”ようにする工夫です。

たとえば、突然の物価上昇や、急な出費（修理・医療費・家族のサポートなど）が発生したとき。本業収入だけでは乗り切れないことも少なくありません。そんな時に、副業で月数万円でもプラスの収入があれば、「貯金を切り崩さずに済む」わけです。

副業＝贅沢資金と思っている方も多いですが、実は「副業＝貯金を守る防御壁」なんですね。

リスクを抑えた副業のはじめ方

副業といっても、必ずしもハードルが高いわけではありません。スマホだけでできるスキマ副業や、週末の短時間だけクラウドワークスやココナラで仕事を受けるスタイルもあります。

また、YouTubeやnoteなどで自分の知識や経験を発信することで、広告収入や販売収入という「不労所得」に近い形での収入源を得ることも可能です。

「家計を守るための副業」は、投資よりもリスクが小さく、心理的にも始めやすい点が特徴。月5,000円でも1万円でも、確実に「貯金を減らさない」力になります。

貯金を守るための行動③「生活費の最適化」

ムダな支出は「貯金を蝕む見えない敵」

最後にご紹介するのは、誰でも今すぐにできる「生活費の見直し」。支出を減らせば、その分だけ貯金が守られます。これは最もシンプルで、かつ効果が高い方法です。

たとえば、以下のような項目に注目してみてください。

• スマホのプランを見直して月1,000円カット
• サブスクの断捨離で月3,000円浮かす
• 電気・ガスの「乗り換え」で年間1万円以上の節約

これらを見直すことで、年間で数万円〜十数万円の節約効果を得ることも可能です。それは、まさに“預金を守る”という結果に直結します。

AI家計簿アプリを活用する

最近では、AIが自動で収支を分析してくれる「AI家計簿アプリ」も登場しています。特におすすめなのは、支出の傾向をグラフで見せてくれたり、「ここを減らせる」といったアドバイスを出してくれるタイプ。

家計簿をつけるのが苦手な人でも、アプリなら続けやすく、節約のヒントも得られます。

実際に、家計簿を見直して月5,000円の支出をカットできれば、1年間で6万円の節約。これだけで、銀行に預けているよりも圧倒的に「お金を守る」力になるのです。

まとめ｜貯金は“使い方”次第で守れる

今回ご紹介した「貯金を守る3つの行動」は、どれも派手な投資や大胆な手法ではありません。でも、確実にあなたの資産を守ってくれる実践的な方法です。

• インフレに強い資産を一部持つ
• 副業で収入源を分散する
• 生活費を見直して無駄を省く

「貯金は増やすもの」だと考えがちですが、「減らさない工夫」こそが最も手堅い資産運用といえるでしょう。

誰にでもできる方法から始めて、将来のお金の不安を少しずつ減らしていきましょう。「守る力」がつけば、増やすこともきっと見えてきます。