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巨大地震の新想定発表!南海トラフ地震で死者30万人超?国の最悪想定とは

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この記事の要約

政府が公表した「南海トラフ巨大地震」の新たな被害想定は、全国民にとって衝撃的な内容でした。死者は最大で29万8000人、経済損失は270兆円を超え、津波や震度7の揺れが広範囲に及ぶという深刻な予測が出されています。この記事では、各地域で想定される被害の詳細から、過去の想定との違い、さらには日常生活にどう影響するかまでを具体的に解説しながら、私たち一人ひとりが今できる対策についても掘り下げていきます。

南海トラフ巨大地震の「新たな想定」が意味するもの

2025年に発表された最新の「南海トラフ巨大地震」の被害想定は、日本全体に強烈なインパクトを与えました。マグニチュード9クラスの地震が発生した場合、神奈川県から鹿児島県まで震度6弱以上の揺れが想定され、津波は福島から沖縄までの25都府県に及び、局地的には30メートル超という高さの津波が押し寄せる危険性まで示されています。

なかでも注目されたのは、死者数が最大で29万8000人に達するという予測です。この数字は、過去の想定からはわずかに減少しているものの、避難の遅れや高齢化の進行を踏まえれば、まったく安心できる水準ではありません。

しかも被害はそれだけにとどまりません。建物の全壊・焼失は235万棟、避難者は最大1230万人、経済被害は270兆円超という、国家の存立を揺るがす規模の影響が試算されています。

この記事では、こうした最新の被害想定の背景や意味、そして私たちがどんな備えをするべきかについて、独自の視点で深掘りしていきます。

なぜ被害想定が“あまり減らなかった”のか

政府が初めて被害想定を出したのは、東日本大震災の直後である2012年。その後、津波避難タワーや防潮堤の整備、住宅の耐震化などが進められてきました。にもかかわらず、10年以上経った今回の想定では、死者数や建物被害はほとんど減っていないのです。

この理由のひとつが、「現実に即した地形データ」の導入です。過去の想定よりも精度の高い地形データをもとにした結果、浸水する可能性のあるエリアが約30%も拡大しました。

さらに、想定で用いられている“避難率”にも課題があります。今回も「最低20%」という前提が維持されましたが、これは地震直後に避難を開始する人が2割しかいないという数字です。これにより津波による死者が膨れ上がるシナリオが強調される結果となっています。

「災害関連死」初の試算とその衝撃

今回初めて試算されたのが「災害関連死」です。地震の揺れや津波による“直接死”ではなく、避難生活の中で体調を崩して亡くなるケースが対象です。

その推計によると、最悪のケースでは5万2000人。これは、東日本大震災時の約3800人の10倍以上という異常な数値です。特に、要介護高齢者・妊産婦・難病患者などの「避難生活弱者」にとって、避難所での生活は命を削る環境にもなりかねません。

停電・断水・トイレの利用困難・医療機関の逼迫など、これらの要因が複合的に重なれば、避難生活そのものが「第二の災害」となりうるのです。

これまで災害関連死は見えにくい問題とされてきましたが、今後の地震対策においては「避難生活の質」がいかに命を左右するか、深く認識する必要があるといえるでしょう。

地域ごとのリスクと今できる備え

全国的に被害が想定される中でも、特にリスクが高いのが静岡県・高知県・和歌山県など、太平洋に面する地域です。

たとえば高知県では津波が最大34メートルという想定が出されています。これは「3階建てビルが水没するレベル」と言っても過言ではなく、津波避難のスピードが生死を分けることになります。

一方で、地震そのものによる揺れも深刻です。震度7が想定されているエリアでは、家屋の倒壊による死亡リスクが非常に高く、家具の固定や住宅の耐震補強はもはや必須です。

都市部に潜む“長周期地震動”の脅威

高層ビルが林立する都市部にとっての隠れた脅威が「長周期地震動」です。これは周期の長い揺れが建物全体をゆっくりと大きく揺らし、特に最上階にいる人ほど強く影響を受けます。

過去の想定では、東京・大阪・名古屋などの大都市圏で、揺れ幅が2〜3メートル以上に達する可能性も示されました。揺れは地上より長く続き、エレベーター停止や転倒事故、建物の安全確認の遅れなど、都市生活の基盤を揺るがします。

日常的に高層ビルで働いたり生活する人にとっては、家具の固定や避難経路の確認は「自助」の第一歩といえるでしょう。

生活・経済・ライフラインへの長期的影響

南海トラフ巨大地震による影響は、一時的な揺れ津波にとどまりません。その後に続く避難生活の長期化経済的ダメージも、日常生活に大きな爪痕を残します。

内閣府の試算では、地震発生から1週間後の避難者数は最大1230万人。これは日本の人口の1割に相当します。そのうち約650万人が避難所、残り580万人が親戚やホテルなど避難所以外の場所で暮らすと想定されています。

1ヶ月後でも1200万人が避難生活を続けているという予測は、被災地の復旧が長引くことを示唆しています。つまり、支援体制・物資供給・医療提供など、すべての社会インフラが長期戦を強いられるというわけです。

物資不足とインフラ崩壊が招く“生活難民”

避難生活が長期化すると、深刻になるのが水・食料の不足です。試算では、地震発生から3日間で必要となる食料が最大1990万食、飲料水は4370万リットルにのぼるとされています。

また、電力供給の停止は最大で2950万戸におよぶとされており、これは日本の約6割の世帯が停電する規模。火力発電所の被害が加味されたことで、以前の想定よりも停電世帯は増加しています。

上下水道も甚大な被害を受けます。断水の影響を受ける人は3690万人、下水道が使えなくなるのは3570万人とされ、トイレが使えない生活が長期化する恐れがあります。

さらに、通信インフラの損傷によって携帯電話・インターネット・固定電話が利用できなくなり、情報難民が続出することも想定されています。

孤立集落と“見えない命”のリスク

道路や橋の崩壊により孤立する集落も多数発生するとみられています。

  • 農業集落:約2200地区
  • 漁業集落:約500地区

こうした集落では支援物資の輸送が困難になり、孤立状態が長期化すれば災害関連死のリスクはさらに高まります。特に高齢者や障害者、医療機器を必要とする人々にとっては、生死を分ける重要な問題です。

人工呼吸器利用者や人工透析患者は、停電や断水によって命の危機にさらされるというデータも示されており、医療インフラのBCP(事業継続計画)は急務となっています。

経済への壊滅的打撃と“私たちの暮らし”の未来

南海トラフ地震の影響は、人命やインフラだけにとどまらず、経済全体に深刻な影響を与えます。

その被害総額は、なんと270兆3000億円超。これは日本の国家予算(約112兆円)の2.4倍にあたります。

  • 建物や施設の復旧:224兆9000億円
  • 生産力の低下を含む総被害:270兆3000億円
  • インフラ寸断の影響も含めると:292兆円超

このような莫大な経済損失は、単なる数字では済みません。企業の倒産、雇用の不安定化、物価の高騰、地方経済の疲弊、国家財政の逼迫といった、国民生活に直結する問題として降りかかってきます。

とりわけ副業や個人事業で生計を立てている人にとって、こうした災害リスクは致命的。物流が止まれば販売できず、電力や通信が止まれば業務も続けられません。

いま、個人が“本気でできる備え”とは

これだけの被害が想定されている中で、「私たちには何ができるのか」と問いたくなるのは当然です。しかし、答えは決して難しいことではありません。

たとえば、政府のシミュレーションによれば――

  • 全員が迅速に避難すれば、津波死者は7割減
  • 耐震化率が100%になれば、倒壊建物7割減、建物倒壊による死者8割減
  • 家具固定率100%で、下敷き死者は7割減

このように、「ほんの少しの備え」が、「数万単位の命」を救う可能性があるのです。

家の中の安全を見直すこと。非常食や水を備えること。モバイルバッテリーを多めに持つこと。家族で避難先を確認し合うこと。

どれも、今この瞬間からでも始められる小さな行動ですが、未来の自分や家族を守るかもしれません。

“他人ごと”を“自分ごと”に変えるタイミング

南海トラフの発生確率は、今後30年以内で「80%程度」。これは、宝くじに当たるような確率ではなく、ほぼ必ず起こる未来として受け止めなければいけません。

その時に、「あのとき備えておけばよかった」と悔やまないように。この記事を読んでくださったあなたが、ほんの少しでも行動を起こすきっかけになればと思います。

地震は防げませんが、被害は減らせる

私たちが「正しく恐れる」ことで、日本全体の未来が少しでも明るくなるなら、それは大きな一歩になるはずです。

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